
運送業界は今、大きな変革期を迎えています。2024年4月から施行されたドライバーの時間外労働規制、そして2026年問題として注目される物流効率化法の改正など、業界を取り巻く環境は急速に変化しています。これらの課題に対応するため、物流DX・自動運転技術・脱炭素化という3つの大きな柱が、今後の運送業界を支える鍵となります。株式会社山本陸運では創業以来27年にわたり培ってきた経験をもとに、これからの運送業界の動向を見据えた取り組みを進めています。
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株式会社山本陸運
平成8年の設立以来、一般貨物自動車運送事業許可(中運自貨二第1199号)のもと、静岡県沼津市を拠点に27名の従業員とともに重量物・産業用機械の運送を手掛けています。関東圏・中部圏を中心とした全国対応により、20年以上にわたる実績を積み重ねてきました。業界の変革期において、「安全・安心・安定」を第一に、時代に即した運送サービスの提供に努めています。
運送業界を取り巻く現状と2024年問題の影響
深刻化するドライバー不足の実態
日本の運送業界は現在、深刻な人材不足に直面しています。国土交通省のデータによると、道路貨物運送業の従事者は全産業平均と比較して若年層の割合が低く、高齢層の割合が高い構造となっています。また、トラック運送業の年間賃金は全職業平均より約1~2割低い水準にあるにもかかわらず、労働時間は約2割長いという厳しい労働環境が続いています。

物流業界全体の市場規模は約32兆円に達し、その中でもトラック運送事業が約6割の16兆円を占めています。一方で、物流事業者の大半は中小企業であり、燃料費の高騰や運賃値上げ圧力により、経営環境は厳しさを増しています。こうした状況下で、業界全体での倒産やM&Aが増加傾向にあります。
2024年問題がもたらす輸送能力への影響
2024年4月から施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働に年960時間という上限が設けられました。これまで5年間の猶予期間が設けられていた運送業界においても、ついに規制が適用される時期を迎えたのです。
試算によると、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合、2030年にはトラック輸送能力が最大34.1%不足する可能性があると指摘されています。労働時間の制限により、一人のドライバーが担える輸送量が減少し、結果として業界全体の輸送力が大幅に低下することが懸念されています。
物流DXによる業務革新と2026年問題への対応
物流DXとは何か
物流DXとは、国土交通省の定義によれば「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」を指します。単なるデジタル化やシステム導入に留まらず、ビジネスモデルそのものを革新することが目的です。具体的には、既存オペレーションの改善と働き方改革の実現、そして物流システムの規格化を通じた産業全体の変革を目指しています。

従来、紙媒体で管理されていた配車情報や納品伝票、請求書などを電子化することで、データ入力作業の削減や事務処理の効率化が可能になります。また、AIを活用した配車計画の最適化により、荷待ち時間の短縮や積載効率の向上が実現できます。
2026年問題と荷主企業への義務化
2024年問題に続き、運送業界では「2026年問題」という新たな課題が浮上しています。これは2026年4月に施行される改正物流効率化法により、年間貨物重量が9万トン以上の荷主企業など、国内貨物量の約半分をカバーする特定事業者約3200社に対して、物流効率化の中長期計画作成と定期報告が義務付けられるものです。
この法改正により、物流改善の責任が運送事業者だけでなく荷主側にも及ぶことになります。具体的には、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役時間の短縮などが求められ、全体の車両で積載効率を44%に増加させる(5割の車両で積載効率50%を実現する)といった高い目標が設定されています。
デジタル化による具体的な効果
物流DXの推進により、運送会社は様々な恩恵を受けることができます。第一に、デジタルツールによる在庫管理の最適化により、人件費や保管費の削減が可能になります。輸送管理システムの導入では、輸送ネットワークの改善につながり、運送費や人件費の大幅な削減が期待できます。
また、CO2排出量の可視化も重要な効果の一つです。物流領域では元請事業者、実運送事業者、発荷主、着荷主など多くの企業が関わるため、スコープ3でのCO2排出量の可視化は困難とされてきました。しかし、物流DXプラットフォームを活用することで、輸配送のCO2排出量を正確に把握し、環境対応を進めることができるようになっています。
自動運転技術の進展と2027年度実用化への動き
レベル4自動運転トラックの実証実験
ドライバー不足という構造的課題を解決する切り札として、自動運転技術への期待が高まっています。2023年4月の道路交通法改正により、レベル4自動運転の特定条件下での公道走行が解禁されました。これを受けて、政府は2025年以降の高速道路でのレベル4自動運転トラック実現、そして2026年以降の社会実装を目指しています。
現在、新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間の約100km区間において、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの国内商用車メーカー4社が参加する実証実験が進行中です。これまでに自動発着システム、緊急停止能力、先読み情報支援、遠隔監視などの機能確認と検証が行われてきました。
社会実装に向けたスケジュール
自動運転トラックの社会実装に向けたスケジュールは具体的に進んでいます。2026年度前半には東京~名古屋間、2026年度内には東京~大阪間での長距離走行テストへと対象区間を順次拡大していく計画です。まずは2026年度に有人での自動運転をスタートさせ、2030年度頃に無人化を目指すロードマップが描かれています。
いすゞ自動車は2027年度から日本・北米を起点に自動運転レベル4トラック・バス事業の開始を目指しており、2026年度末までに計30台の自動運転車両を導入する予定です。同社は自社部品物流ルート(栃木~愛知)での事業実証を通じて、物流事業者にとって最適な自動運転物流モデルの構築を進めています。
2023年4月
内容:道路交通法改正によりレベル4自動運転が特定条件下で解禁
意義:公道での無人走行サービスの提供が可能に
2026年度
内容:高速道路での有人レベル4自動運転開始予定
対象:東京~大阪間での長距離走行テスト
2027年度
内容:商用車メーカーが自動運転トラック事業開始
展開:日本・北米を起点に本格的な事業化へ
2030年度
内容:完全無人化を目指す
効果:ドライバー不足問題の根本的解決へ
脱炭素化への取り組みとカーボンニュートラルへの道

2050年カーボンニュートラルへの挑戦
地球温暖化対策として、運送業界でも脱炭素化への取り組みが加速しています。日本におけるCO2排出量のうち、自動車を含む運輸部門からの排出が17.7%を占めており、運輸部門での脱炭素化は極めて重要な課題です。2015年のパリ協定を受け、日本政府は2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量が均衡し、実質的に排出量が差し引きゼロとなった状態を指します。運送業界においては、車両からのCO2排出だけでなく、製造から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体での環境負荷を考慮する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の視点が重要になっています。
電動車の普及と環境対応
脱炭素化を実現する具体的な手段として、電動車の普及が進んでいます。電動車には、完全電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)など、様々なタイプが存在します。日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げており、2030年までには電動車の普及率を50~70%にする計画です。
トラック運送においても、電動化の動きが本格化しています。走行時のCO2排出がゼロとなるEVトラックや、水素と酸素の化学反応で発電し走行するFCVトラックの開発・導入が進められています。さらに、モーダルシフト(トラックから鉄道・船舶への輸送手段の転換)や、再生可能エネルギーの活用なども、運送会社が取り組むべき重要な施策となっています。
これからの運送業界に求められる変革と対応力
求められる人材像と新しいスキル
物流DX、自動運転、脱炭素化という3つの大きな変革の波は、運送業界で働く人材に求められるスキルセットも変化させています。従来の運転技術や安全運転の知識に加えて、デジタル機器の操作能力、データ分析の基礎知識、環境対応への理解などが重要になっています。
特に、配車管理システムや輸送管理システムといったデジタルツールを使いこなす能力は、今後ますます必要不可欠なものとなります。また、自動運転車両の監視・管理を行うオペレーターには、一定の教育が義務付けられており、新しい職種としての需要も生まれています。環境負荷を意識した運行計画の立案や、エコドライブの実践なども、これからのドライバーに期待される役割です。
運送会社が取り組むべき戦略
運送会社にとって、これからの時代を生き抜くためには、段階的かつ計画的なアプローチが重要です。まず短期的には、配車システムのデジタル化や、ペーパーレス化による業務効率化など、比較的取り組みやすいDX施策から着手することが推奨されます。
中期的には、荷主企業との連携強化が鍵となります。2026年問題への対応として、荷待ち時間の短縮や積載効率の向上には、荷主側の協力が不可欠です。共同配送の実施や、物流拠点の最適化なども、業界全体で取り組むべき課題となっています。
長期的には、自動運転技術の導入検討や、電動車両への転換計画の策定など、大規模な設備投資を伴う施策にも目を向ける必要があります。ただし、これらの新技術は決して運送会社単独で実現できるものではなく、行政の支援策や業界団体との連携を活用しながら、段階的に進めていくことが現実的です。
まとめ
運送業界は今、2024年問題と2026年問題という2つの大きな課題に直面しながらも、物流DX・自動運転・脱炭素化という3つの柱により、新しい時代への扉を開こうとしています。ドライバー不足や労働環境の改善、環境負荷の低減といった構造的課題は、一朝一夕に解決できるものではありませんが、技術革新と業界全体の連携により、確実に前進しています。
2026年度以降のレベル4自動運転トラックの社会実装、2027年度からの商用化、そして2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、業界全体が同じ方向を向いて歩み始めています。この変革期において重要なのは、各運送会社が自社の規模や特性に応じた適切な戦略を描き、できることから着実に実行していくことです。
株式会社山本陸運では、平成8年の設立以来、静岡県沼津市を拠点に27名の従業員とともに、重量物・産業用機械の運送業務を手掛けてきました。これからも「安全・安心・安定」という基本理念を守りながら、時代に即した運送サービスの提供に努めてまいります。業界の変革に対応しながら、お客様の物流ニーズにお応えし続けることが、私たちの使命です。
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